慣れと言う名の日常

豆電球の明かりの中、私は寝返りを打って溜息をついた。
もうこんな時間・・・。
時計は夜中の2時を指している。妙に寝苦しいのは、中途半端なセックスのせい。
昔はこんなんじゃなかったんだけどな・・。
口付けもしない。胸をちょっと吸ってあそこをちょっと触って、濡れてもいないのにインサート。もしくは口でコンドームを濡らさせられて上に乗れと催促される。前まではじっくりと責めて、必ず一度いかせてから挿入してくれてたのに・・・。
釣った魚に餌をやらないとはこのことよね。
背中から聞こえる大鼾に軽く溜息をついて、私はパジャマのズボンに指を潜り込ませた。
・・・相手が横にいてこれってすっごく虚しい・・・。
ふと考えるものの疼いてしまった体は止めようがない。まだ行為の余韻が残っているスリットに手を這わせて、指をゆっくりと動かす。本当は激しく動かしたいけど、この快感を少し楽しみたい。
くちゅ・・・くちゅ・・
少し音が漏れるのが恥ずかしいけど、構うものか。どうせ寝てるんだし。
隣で熟睡中の夫を少々歯痒く思いながら指を動かしつづける。こんなときでも想像するのはまだ新婚のときの濃厚なセックス。
いじらしい奥さんじゃない?
自分でそうは思っても夫はそうは思ってないんだろうから仕方がない。
 ・・・ふ・・・
思わずもれそうになる息を堪えながらクリトリスを優しく優しく弄っていく。と・・・・
 え・・?
いつのまにか寝返りを打った夫が後ろからパジャマの中に手を潜り込ませて乳首を摘んだ。
 あん・・。
 まだ足りないのか?スケベ。
見つかっちゃった・・・。
 だってぇ・・・。
後ろからパジャマのズボンが下ろされる。頼むから足を使うのはやめてよぉ。ごそごそと何かしていたと思うと押し付けられたのは熱く固くなった肉棒。またすぐに入れられるとは思っても思わず溜息が漏れてしまう。
 あ・・すごい・・・。
 何考えてオナニーしてたんだ?
 ん・・あなたのこと・・・。
ぐいっと後ろから襞を押しのけて夫の欲望が入ってくる。
 あん・・。
 嘘つけ。俺のこと考えてこんなにどろどろにするのか?全くしょうがないな・・。もう一回だけだからな?
まんざらでもない口調で夫が言うと、私をベッドに押し付けるようにして犯していく。オナニーでもいってないのにもう一回してもそう簡単に満足できるわけもない。
でも・・なんだかくすぐったくて嬉しかった。夫の口調にかすかな嫉妬が混じっていたから。
 あん・・あなた・・・いい・・。
もうちょっとは『女』でいられるわよね?『妻』である前に、『女』であると見てくれている・・そう思っていいのよね?
もしかしたら無駄かもしれない期待。でも、女はそんなことで少し綺麗になれる。
奥さん、大事にしてますか?

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