憧れという名の非日常

 あふ・・んぁん・・あ・・・
ぬちゃぬちゃという音が淫靡に耳に響く。
私のいやらしい襞を丁寧に舐める音。
刺激された官能が私の身を捩らせ、どうしようもないほど淫液を溢れさせている。
乳首なんかはとうの昔につんつんに立ってしまって少し触れられれば甲高い嬌声が上がってしまうほど。
 ・・感じる?
甘いテノールの声が私に問い掛けた。
名はなんと言ったか。確か名うての俳優。かなり私の好みのタイプ。その男が私の秘裂を舐めしゃぶっている。
私は喘ぐばかりで返事にならない。その様子に満足したのか、さらにいやらしく舌は絡みつき、私の秘裂を弄っては淫液を啜っていく。
たまらない感覚が私の腰を這い登り、背筋から脳へと駆け抜けていくのがわかった。
 あ・・ああ・・もう・・・もう・・だめ・・・
 いいよ・・いっちゃいな・・・。
促されるままに私は体を仰け反らせ、快楽の高みを享受するために体を開いた。
とたん、襞の間につきこまれた舌が私の襞を掻き毟り、私の意識を遥か遠いところに飛ばしていく。
 あ・・ああああんっ!

 ・・・・・大丈夫?
薄暗い照明の中、夫は真上から私の顔を覗き込んでそう言った。
さっきの俳優とはとても似ても似つかない見慣れた顔。
 ・・あ・・大丈夫・・・。
 なんだかものすごく色っぽくうなされてたけど・・。
額や首筋に汗が浮かんでいるのがわかった。もちろんショーツの中はぐっしょりで。
 なんかやらしい夢でも見てた?
珍しく猫なで声で言いながら夫は私の耳に口付けた。すでに手は胸に伸びて硬く勃起した乳首を弄っている。
 ・・・え・・・そんなことは・・・。
 正直に言いなよ。
夢の内容を知るはずもない夫の声はどこか楽しげで。だから私もその茶目っ気のある誘いにのることにした。
 ん・・・あなたとえっちしてる夢見ちゃった・・
 最近ご無沙汰だからね・・・
夫の手が優しく私のパジャマを脱がしてくれる。今日はなんだか優しくしてもらえそう。
 そうよ?あなたがあんまりほったらかすから・・
 スケベだな・・
あなたごめんなさい。
心の中で舌を出す。だけど、久しぶりの夫の手を熱っぽく感じるのはきっとこのほんのわずかな罪悪感のおかげ。
きっと現実にはないことだから。こんなスパイス。たまにはあってもいいでしょ?

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