大人遊戯

 ・・ちゅ・・ちゅ・・・じゅ・・・れる・・・っちゅ・・
薄暗い照明の中、卑猥な水音が静かに響く。毛足の長い絨毯・・・ダブルのベッド・・・乱れたシーツ・・・・絡み合う二つの裸体・・。
「んぁ・・・は・・・けんいちぃ・・・それ・・いい・・・。」
体をのけぞらせ、黒髪を散らして切なげに喘ぐその姿はまるで清流の若魚のようで。薄くグロスだけ塗った小さな唇が照明を受けて淫靡に光る。すっと通った鼻筋。黒目がちな大きな瞳。娼婦の艶やかさと裏腹にどこか清純そうな瞳の女はまだ少女とも言える年齢ではなかろうか。
「ちゅ・・じゅっ・・・蛍は・・・これが好きだもんな・・。」
その少女の白い足を捕らえ、肩に担ぎ上げて太腿を撫で回しながら秘所の蜜をひた啜る男。どう贔屓目に見ても、少女の父親といってもおかしくない年代のように見える。かなり後退しつつある額に汗を浮べながら蛍と呼んだ少女の割れ目を舐めさすり、蜜を啜り上げる。鼻から下は少女の分泌物に塗れててかっているが、全く気にした様子もなく、口元には恍惚とした笑みすら浮かんでいた。
「ん・・・好き・・・舐めてくれる健一も好きぃ・・・。」
幾度となく繰り返された睦言。それを聞くとどこかで満たされるのを覚えた。甘えたように鼻にかった声を上げて少女が健一の髪をくしゃりとかき混ぜる。もうすぐ達する合図だ。
「む・・じゅる・・・じゅじゅ・・。」
合図を受けて健一の舌の動きが激しくなる。襞の隙間を深く嘗め尽くし、クリトリスの脇を舌で擽ってからその膨らんだ突起を咥え込むと白い裸身が妖しくくねる。同時にどろりと溢れ出るものを感じてにやりと笑みを浮べると、咥え込んだ突起に舌を擦り付けながらぎゅうっとそれを溢れ出る蜜ごと吸い取る。
「あ・・いいの・・いいのおぉぉー・・・・っ!!」
腕の中でびくびくと若い体が弾け、激しく震えると濃度の濃い液体が喉を流れ落ちる。がっくりと力を抜いた白い裸体に満足そうな笑みを浮べると健一はゆっくりと身を起こして激しく喘ぐ胸の先端に口付けた。
「蛍・・可愛いよ・・。」
ぼんやりと男を見上げる少女の呆けたような顔を見ながらサイドテーブルのコンドームを手に取った。若い体・・。それを思うだけでいきり立つというのに思う様貪ってもかまわないという。健一は女の体を舌で味わうのが何より好きだった。羞恥と歓喜に震える肌、堪えようもない悦びに紅潮していく頬。どれもが自分を奮い立たせる。年をとって萎え気味だと思っていたのが嘘のようだった。
「蛍・・・。」
力を失った足を大きく左右に開かせる。クンニだけで数え切れないほどいった体だ。あられもなく開いたそこから綻びてぽってりと紅くなった華が丸見えになる。
あれほどいったのにまだ浅ましく欲しがって・・。
快楽の余韻で震える襞を見ながらそんなことを考える。今度はここに己のペニスを押し込んで思う様蹂躙するのだ。そう考えただけで腰が震えた。コンドームをかぶせたペニスの根元を抑えて柔らかく、それでいて若い硬さを失わないそこに埋没させていく。
「ぁ・・ああ・・ん・・奥まできて・・いいの・・。」
蛍の睦言を恍惚とした表情で聞きながら我慢できなくなって腰を突き動かす。最初こそ年上の余裕を・・などと考えたが、この甘美な身体の前ではそんな余裕など海の藻屑のごとく崩れ去ってしまう。初日でそれを思い知った健一は、まず前戯でじっくり思う様いかせることにしたのだ。
「ぁ・・・あく・・んん・・・はぁうう・・・」
切なげに眉をしならせて蛍が喘ぐ。その小さな唇に食らいつくようにキスをする。出っ張った腹が邪魔をするがそんなもの気にしてはいられない。甘美な唇を貪り、唾液を啜り、余すところなく粘膜を弄り尽くす。唇は第2の性器だと言ったのは誰だったか。それだけで達してしまいそうだった。蛍の首筋に口付けを送りながら第一の絶頂感をやり過ごすと、蛍の少し硬さが残る柔らかい胸に手を伸ばす。大きすぎず小さすぎず。健一の好みの胸の大きさだった。それを揉みしだきながら腰を突き動かすとペニスに絡みつき、吸い付くような襞が更なる快楽を煽る。
・・今出したらもったいない・・。
年のせいか1度出したらなかなか復活できないせいか、一度のセックスを長く楽しむ傾向にあった。
まだ・・まだだ・・・。
自分に言い聞かせて第2の絶頂感をやり過ごすと今度は蛍を獣の態勢に組み敷く。普通に四つんばいじゃつまらない。頭をベッドに押し付けると苦しげに襞が戦慄くのだ。それを楽しみながらペニスで蛍の敏感な個所を突き上げ、アナルにつぷ、と親指を押し込む。
「やあぁあ!だめ、いくうう!」
刹那、蛍がのけぞると突きこんだペニスと指が千切れるかと思うほどに食いしめられ、うねる襞の刺激に晒される。
「く・・うう・・っ。」
しまった・・。そう思ったときには遅かった。健一はコンドームの中が白濁で満たされていくのを感じていた。

「蛍・・。次はいつ会える?」
セーラー服を着た少女の前に立ち、額に口付けると数枚の紙幣を彼女の胸ポケットに入れてやる。1度のデートに5万。これが最初に約束した数字だが、ついつい物を買ってやったりチップをつけてやったりする。女房がどこで使ったとうるさいが気にしてなどいられない。蛍が喜ぶのなら構うもんか。
「んー・・・。来月の初めかな?試験とかあるし。」
ポケットの感触に極上の笑みを浮べる少女は、少し考えてそう返事した。後3週間ほどか・・。59円バーガーでやり過ごせば何とかなるな・・。頭の中で残りの所持金をめまぐるしく計算する。少女とのデートのために昼食を抜いたことなど1度や2度ではない。
「わかった。じゃあまた例によって携帯に連絡をくれるね?」
「もちろんよ。」
にっこり微笑んで頷く少女に軽くキスをすると、催促の電話がけたたましく部屋に響いた。
「じゃあまた来月な。」
制服を着た少女と外で別れるわけにはいかない。健一は名残惜しげに言うと、少女を部屋の外に見送った。

「あ、チカ?うん。あたし。今ねー。渋谷。そーそ。今終わったとこぉ。出てこない?トイレで着替えるしさぁ。んー。もしかしたらその間に一稼ぎしてるかも知んないけどぉ。」
くす、とグロスの剥げた唇が悪戯に笑みを作る。
「じゃあ、ついたら電話してね?うん。ばいばーい。」
くすくす・・。笑みを漏らすと少女は再び唇に無色のグロスを塗る。指はすでに次の番号をプッシュして。
「あ、悟ぅ?うん。蛍ー。ちょっと時間が空いたの。塾にいく前だからほんとにちょっとなんだけど・・。どうかな?」
ほどなくして電話を切るとくすりと小悪魔の笑みを形作る。少女は、日が暮れた街の雑踏の中を歩き出した・・。

数分後、少女の姿は公園の一角にあった。人目を忍ぶように公園のトイレの影でスカートを捲り上げ、ショーツを膝まで下ろした状態で後ろから男に貫かれている。乱れたセーラー服にぐちゅぐちゅと響く淫猥な水音がそこにある行為をさらに背徳的なものに仕上げている。
「蛍・・蛍・・。好きだよ・・。」
うわごとのように繰り返す男の手はセーラー服の裾から潜り込んで胸を揉み上げている。
「ぁん・・嬉しい・・。もっと突いてぇ・・。」
足元にはシャネルの紙袋と学生かばん。腰を熱心に動かしている男はやはり蛍よりもかなり年上なように見える。
「今日は時間がないから・・・入れるだけだけど・・。く・・・今度は・・ちゃんと隅々まで舐めてあげるからな・・・。」
蛍の耳朶を噛み、熱心に囁くと、期待したように蛍の襞が蠢く。
「ぁん・・あ・・それ・・聞いただけで感じちゃう・・。」
鼻にかった甘い声。尻を突き出すように腰を動かすときちきちと根元から先端に向けてペニスが搾り取るように締め付けられた。
「ほ・・蛍・・・。ダメだよ・・出ちまう・・。」
男が情けない声を上げるのに男からは見えない口元が僅かに引き上げられる。
「あ・・あたしも・・いく・・きてぇ・・・さとるぅ・・・」
なのに唇から漏れるのは甘い声。さらに腰をくねらせると引き絞られるかと思うほどの締め付けが悟のペニスを襲う。
「く・・くぅ・・・」
男が熱い白濁をゴムでできた仕切りの中に吐き出すと同時に少女の背が反り返った。
「は・・はう・・・っ!」
控えめな声は抑えてもつい漏れる快楽の証を主張しているようでもあり・・。荒い息をつきながらペニスを引き抜くと、のろのろと後ろに回った手がショーツを引き上げ、白い尻を清楚なデザインのそれで包んでいく。振り返った少女はちらりと腕時計に目をやるとあ、と小さく声を上げてバタバタと荷物を取り上げる。
「ごめん。そろそろ行かなきゃ。これ、ありがと。」
シャネルの紙袋を持ち上げてにっこり笑う少女に悟は慌てて腕を掴む。
「待って、蛍。次は・・。」
「ごめんね。電話する。」
言葉を遮るように答えた少女が走りかけてまた振り返る。一瞬甘い期待を抱いた男の耳に甘えたような少女の声が響いた。
「ねえ・・遅れたからタクシー使いたいんだけど・・・。」

「でも今日さー。超むかついたんだよねー。時間ないから舐めるだけかと思ったら早速入れやがんのー。シャネルもってなかったら捨ててたね。」
清楚な制服から一転して下着ぎりぎりの短いスカートにキャミソール。茶色の付け毛、派手な化粧。蛍の面影はどこにもない。
「ユキもあくどいよねー。自分の趣味のえっちやって親父から金稼ごうってんだもん。ま、親父だからいけどー。」
騒々しいカラオケボックスの中。少女のくすくす笑いは音に紛れて聞こえない。
「いいじゃん。気持ちよくて金もらえるんならさ。それがサイコー。」
げらげら笑うと目の前にあるウーロン茶を飲む。そう、ちょろいもの。世の中要領がものをいう。若いうちは特に。
「次さ。『visee』行かない?今日トモキ来てるんだってー。超かっこいいよねー。」
「いくいくー。チカさー。シンヤもいいっていってなかった?」
笑いながら立ち上がると小さなショルダーを手に取る。今日手にした8万。これがいつまであるのかなんて知らない。考えたこともない。だけど、今がたのしけりゃいいじゃん?若いうちしかできないんだし。誰にも迷惑かけてないし。
これがあたし達の遊び方。いいでしょ?なんかあったってセキニンとるのは自分なんだもん。

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